まだ乳歯列期の場合は「受け口」などの特異的な症状がない限り、定期観察として矯正治療を開始しない事が多いです。

その理由は以下の3つです。

 

乳歯列期では歯並びの大きさや噛み合わせの位置を判断する事ができません。
永久歯の前歯と6歳臼歯が生える事で歯並びの縦横の外形を判断できるようになります。それまで待った方が正確な治療方針や装置を選択できます。

永久歯の先天性欠損があった場合、早期の矯正治療は無駄になる事があります。
10人に1人の割合で永久歯の種がない事があります。この場合だと将来的には先天性の欠損歯部分のスペースは閉じなくてはなりませんので、歯並びを広げるメリットはなくなってしまいます。

治療の最終的なゴールが遠くなります。
永久歯に生え変わる時期というのは決まっています。ワイヤー矯正による本格矯正を行う時期は12歳前後と考えると治療の最終ゴールは中学校2,3年です。幼児期からスタートすると治療期間は10年近くになります。

 

以上の理由より乳歯列期である幼児の矯正治療は不安定な要素が多く、通常は推奨していません。ましてすでに乳歯列でスペースがなく将来的に抜歯になる可能性が高い場合は、適切な時期まで待った方が良いこともあります。

 

お母様自身や一般歯科の先生では判断が難しいこともありますので、その場合は一度ご相談下さい。