歯肉炎と歯周病について
皆さん、こんにちは。
大抵の方は歯周病という言葉を聞いた事があると思います。
今現在、日本の成人の約8割が歯周病にかかっていると言われています。
歯周病は大きく「歯肉炎」と「歯周炎」の二つに分類されます。
今回は、歯肉炎と歯周病は何がどう違うのかについて説明していきます。
その前に皆さんは、自分の現在の歯肉(歯茎)がどのような状態かわかりますか?
健康なのか、歯周病なのかを判断する上でも歯肉の状態はとても重要になります。
では、健康な歯肉とはどのような状態なのでしょうか。
健康な歯茎とは
薄ピンク色をしていて硬く引き締まっています。
また歯茎の表面には「スティップリング」といって写真のように不規則に小窩が見られます。
歯磨きでの出血はみられません。
ぜひ定期的に、ご自身の歯茎を鏡でチェックしてみてください♩
次に、歯の周りの組織(歯周組織)について説明します。
まず歯周組織とは、上の図の赤い線で囲まれている部位のことを言います。
✅セメント質
→歯肉の下に埋まっている歯根の外側の組織です。歯槽骨と歯根をくっつける役目をしています。
✅歯根膜
→歯根と歯槽骨を結びつけ、歯に加わる力を和らげるクッションの役目をしています。
✅歯槽骨
→歯を支えている骨です。歯は歯槽骨の中に埋まっています。顎の骨を形成する一つです。
❕歯肉炎や歯周病になりやすい人の特徴
歯磨きをしない
歯周病は生活習慣病ですので、日々の生活習慣が大事になります。
また口腔内は細菌だらけですので食後は必ず歯磨きをするような習慣をつけましょう。
喫煙
たばこを吸う人は、歯茎の抵抗力が落ちて血行が悪くなり、歯ぐきに酸素や栄養が十分に行きわたらなくなります。
その為、出血しずらく歯茎の異常に気付くのも遅くなります。
また、唾液の分泌も抑えられるため、プラークや歯石が付きやすくなります。
吸わない人よりも歯周病になりやすく進行速度も早くなります。
歯ぎしりや食いしばり
歯は縦方向の力には約100kg程度までは耐えることができると言われていますが、横の力には弱い為、歯に力がかかり、歯や歯周組織へのダメージが歯周病を悪化させます。
歯並びが悪い
歯並びが直接的に関係するわけではなく、歯並びが悪い事でどうしても磨き残しの部位がでてきます。その磨き残したプラークがやがて唾液成分と混ざり、歯石となることで歯周病につながります。
歯肉炎とは
歯肉炎とは、名前の通り歯肉だけが腫れている状態のことをいいます。
健康な歯茎は引き締まっていますが、歯肉炎は歯茎と歯の境目(歯周ポケット)にプラーク(歯垢)が溜まり、やがて歯石に変わるなどして歯肉が炎症をおこしています。
歯肉炎になると、①のように歯茎が赤くなり、歯と歯の間が腫れ上がります。
また日常的な歯ブラシだけで、②のように出血が見られるようになります。
歯肉炎は、毎日丁寧に歯磨きすることで改善することができます!
※プラークが歯石になってしまっていると、歯ブラシでは絶対に除去は出来ませんので、一度歯医者さんでのクリーニングをオススメいたします。
歯周病とは
このように、歯肉炎が進行し、歯を支える歯周組織にまで炎症が起きている状態のことです。
歯周組織にまで進行すると、歯茎が腫れて日常的に出血が見られ歯周ポケットに汚れが溜まり細菌が繁殖し、口臭が目立つようになってきます。
また歯槽骨が溶けてしまう為、歯茎が下がって歯がグラグラしたり、重度になると抜けてしまう可能性があります。
歯を失う1番の原因は、虫歯ではなく歯周病なのです。
また近年では、歯周病になるとその原因である歯周病菌が全身の疾患と少なからず関係があることが分かっています。
例えば
●糖尿病
●誤嚥性肺炎
●早産や低体重児出産
●心疾患
●脳疾患
など、歯周病の予防や早期の治療は全身の健康の為にもとても大切なことなのです。
しかし、歯肉炎も歯周病も出血や歯が浮いたような感覚以外、基本的には「痛みがない」です。
気付いた時には結構進行していることが多くみられます。
ですので、定期的に歯科医院での定期検診を受けることでいち早く気付くことができるのです。
※定期健診では歯周ポケットの深さを測ってもらうことができます。
このプローブという器具を使用して、数値を記録していきます。
・健康な歯肉:1~2mm
・歯肉炎〜中等度歯周病:3mm以上
・重度歯周病:10mm以上
この数値を基準に歯周病になっているかの判断をしていきます。
一度溶けてしまった骨は元に戻すことは難しいです。
ですのでそうなる前に、ご自身の歯並び、咬み合わせ、お口の中の現状を知り、予防・改善をする事は、とても大切なことなのです!